聖霊降臨後第6主日

実を結ぶ種。神からの呼びかけは、決して無駄にはなりません。必ず、何らかの実りをもたらして豊かなよろこびを実現するような実力を備えています。
しかし、受け容れる土地によって、種の成長の度合いは異なります。神は、あらゆる相手に対して平等に呼びかけています。種としての神のみことば。しかし、私は、ときとして神の呼びかけをはねのけてしまう場合があります。かたくなな心は、まるで岩だらけの土地のようです。
だからこそ、いつでも、心をやわらかく耕しておくことが欠かせません。柔軟な姿勢で、彼方からの呼びかけを受け容れる準備をすること。うめきながら、待つこと。神の子どもたちの栄光に輝く自由の実現を願いつつ、ひたすら待ち望むことが、私たちには欠かせないのです。
神からの呼びかけをすなおに受け容れるときに、人びとは、それぞれの素質に応じて実を結びます。神の呼びかけが、あらゆる相手に対して平等に与えられているにせよ、受け容れる私たちの心の状態に応じて、神のみことばの展開の仕方は千差万別の様相を呈してゆくのです。
私たちは、自分の至らなさに気づいていない場合が多いのでしょう。だからこそ、いつでも、どうして私は実を結ぶことができないのでしょう、と神に対する不平をつぶやくのです。そして、まわりの人と自分とを比較して悔しさをにじませ、行き場のない怒りに燃えるのです。こんなにも頑張っているのに、どうして私よりもあの人のほうが豊かな実りを得ているのでしょう、と文句を述べたくなるわけです。
それでも、神は、今日も、また呼びかけています。決して諦めることなく、神は、ひたすら愛情深い呼びかけを響かせつづけているのです。決して偏ることなく、常にあらゆる相手に対して平等に関わる寛大な神からの呼びかけは、イエス・キリストの「たとえ話」によって私たちの心に深く残ります。イエス・キリストによる「謎」に満ちた独特な語り口調は、今日も、私たちの心に食い込んで、新たな意味づけを絶え間なく生み出してゆきます。

マタイによる福音書第13章1-9、18-23節

2020年7月12日