聖霊降臨後第10主日

今日の福音で、イエスは弟子たちを強いて舟に乗せ、向こう岸に先に行かせたと、マタイは語っています。
弟子たちだけで船に乗り込み湖の上を航海するのです。イエスは一緒におられません。ひとりで祈るために山に登られたのです。夕方になっても、おそらく夜、一晩中、イエスは祈られます。弟子たちの様に私たちも、自分たちだけで人生の船旅を漕いでいて、そこにイエスがいないという思いを抱いて過ごす時があるかも知れません。しかし、そのような時でも、イエスが私たちのために祈っていてくださることを思い起こすようにしたいものです。
姿が見えなくとも、すぐ近くにいると感じられなくても、イエスの祈りに支えられていると知ること、信じることは、私たちにとってとても大事なことです。
そして、イエスの祈りに信頼するようにしたいものです。弟子たちが逆風の波に悩まされている時、イエスが湖の上を歩いて近づかれました。
イエスは、何もかもよくわかっておられます。弟子たちが怯えて叫び声をあげてしまうことも、自分のことがよくわからないことも。ペトロが信じられないまま、「主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いてそちらに行かせてください。」と言い、歩み寄りつつも、強い風に怖くなり沈みかけることも。私たちの信仰の弱さや未熟さすべてを受けとめ、沈みかける手をしっかり摑まえ引き上げてくださいます。
このような出来事を通して、弟子たちに、私たちに、大事なことをイエスは教えてくれているように思います。
信仰が弱いと感じられまたイエスが一緒にいないと思い困難のさなかにあるときでさえイエスは、私たちの手をしっかり掴んで苦難から引き上げてくださる方であることを忘れないように、神の子イエスへの信頼を失わないように、そして、イエスが全存在をかけて信頼している天の御父への信頼を、私たちも心に抱いて生きるように、と。
「そして、二人が舟に乗り込むと、風は静まった。」

マタイによる福音書第14章22-33節

2020年8月9日