聖霊降臨後第24主日
今日の福音では「少しのものに忠実であること」の重みが強調されています。
人間が生活するうえで、相手の気持ちを理解して支えることができる者同士が共同体を盛り立てることが重要となります。妻は夫を支え、夫も妻を支え、おたがいに補い合って協調するときに幸せな家庭が成立します。「真珠よりもはるかに尊い妻」という感慨をいだいて暮らすことのできる夫は人間として理想の状態を生きているのでしょう。たいていの人は高価な真珠を手に入れようと必死になります。しかし、それ以上に、思いやり深い妻と出会うことのほうが価値があります。人間関係の充実した状態こそが人生の最高の宝となるのです。
キリストと出会った人は、もはや暗闇のなかにはいません。明るく心地よい気持ちをいだいて前進することができるからです。キリストは相手を照らし暖めます。光のように周囲を照らし暖めるキリストがいるときに、もはや暗闇は存在しえないほどに明白な慈愛の圧倒的な実力が発揮されているのです。つまり、キリストの愛情が大いに勝っているので、悪意ある闇のうごめきはすべて制圧されています。
真剣に人生を生きようと努める人は、「少しのものに忠実であること」の重みを理解しています。つまり、その人は心をこめて物事をこなしているのです。大切な相手と出会っているときに、私たちもまた相手を尊重しており、できるかぎりの力を尽くしてもてなそうとします。決して手を抜かないわけです。細心の注意を払って相手をよろこばせようと、絶えず努力することが愛情の至極の表現となるのです。愛情をこめて人生を生きている人は、大切な相手と丁寧に向き合って、いのちがけの交流をつづけています。ごまかさない、誠実さを目指して絶えず向上する人間の純粋さを持ち合わせる信仰者の態度を、イエスは弟子たちに伝えようとしています。
結局、今日の朗読は「キリストの誠実さ」を受け継いで生きることの極意を私たちに想い出させてくれます。キリストの姿を意識して、同じようにふるまうことが弟子たちに定められたひとつのかけがえのない道なのでしょう。
マタイによる福音書第25章14-15、19-29節
2020年11月15日