聖霊降臨後第7主日
ゴマよりずっと小さくはかないからし種のように、あるいは、パン種のように、「天の国」は人の目には見えないようなごく小さなところから、でも確実に始まって大きな全体を変えていくものだと、イエスのたとえは教えてくれます。
今日の私のほんの小さな決断や行動が、この世に対してとても大きな影響力を持っています。たったひとつの私の微笑みが、たった一言の「ありがとう」が、仕事でのひと頑張りが、誰かのために捧げたアヴェ・マリアが、巡り巡って世界を大きく変えるかもしれないのです。神の愛が支配する「天の国」は、いつも、今、ここから広がり続けます。
一方で、「天の国」が完成するこの世の終わりまで、神から来る愛とは異なる「毒麦」も、共にこの世で広がっていくようです。イエスのたとえでは、主人が毒麦をすぐに退治しない理由は、「麦まで一緒に抜くかもしれない」からだと説明されています。限りある人間には、事の善悪を完全に判断することは出来ないのでしょう。「主が来られるまでは、先走って何も裁いてはいけません」というパウロの言葉が思い出されます(コリントの信徒への手紙一4:5)。
今日の私たちに求められるのは、世界にはびこる悪に気を落とさず、希望をもって、神の国のための小さな行いを重ねていくことなのだと思います。
主よ、私たちが今日あなたに捧げる小さな愛の行いを受け入れて、神の国の完成に役立つものとしてください。同時に、人の弱さから犯される罪を赦し、その悪しき結果からさえも、良い実りを引き出して下さい。あなたを信じる者が希望を失うことなく、頂いた信仰を世の終わりまで生き抜くことが出来ますように。
マタイによる福音書第13章24-30、36-43節
2020年7月19日