顕現後第1主日

今日の福音で、まず、洗礼者ヨハネがイエスのことをこう語っています。
「私よりも優れた方が、後から来られる。・・・わたしは水であなたたちに洗礼を授けたが、その方は聖霊で洗礼をお授けになる。」このヨハネの言葉は、ナザレからヨルダン川に向かって歩いているイエスの耳にも届いていたことでしょう。人は、他の人から「あなたは私よりも優れている。」と言われると有頂天になったり、他の人の上に自分がいることに価値があると思い込んだりします。
しかし、ヨハネのもとで洗礼を受けるためにナザレを旅発ったイエスの心は、どのようだったのでしょうか。罪を悔い改めるためにヨハネのもとに集まった人々の傍を通り過ぎながら、人々の話や思いに耳を傾け、人々の痛みに寄り添いながら一緒に洗礼の列に加わったイエス。
イエスの心の中には、有頂天になる気持ちも人より自分は優れているといった優越感も全くありません。
イエスの思いは、自分に託された御父からの使命を果たすことに注がれています。そのイエスの使命が、ヨハネから洗礼を受けて水の中から上がった時始まります。イエスは、「天が裂けて、“霊”が鳩のようにご自分に降ってくるのを、ご覧になった。」
この時、イエスの心は喜びでいっぱいになったことでしょう。前もって、ヨハネが告げていたように。
“その方は、聖霊で洗礼をお授けになる。”
イエスの使命は、まさしく、これなのです。「あなたはわたしの愛する子。わたしの心に適う者。」この、“声”が、天から聞こえる。イエスの使命の始まり。そして、わたしたち一人一人の使命の始まりも、イエスと同様、この“声”が天から聞こえ、わたしたち一人一人の心に響くことから始まるのです。
私たちも、自分に託された使命を果たしていく道を、イエスと共に歩んでいけますように。

マルコによる福音書1章7-11節

2021年1月10日

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