顕現後第5主日
私たちは洗礼を受けている、受けていないに限らず、イエスに出会っているのではないでしょうか。たとえば、人から親切な声かけをされて「心が温かくなった」時、あるいは心が折れそうな時に話をゆっくり聴いてもらった時など、人によってさまざまですが、そのようなイエスとの出会いは誰でも必ずあることでしょう。時にはイエスとの出会いが、その人にとって人生を決める大きなきっかけになるのかもしれません。
今日の福音は、最初の弟子たちの召命の場面です。イエスは、ゲネサレト湖の岸辺にあったシモンの舟に乗り、群衆に教えられた後、彼に「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われます。シモンは、「先生、わたしたちは夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えます。彼らは、漁師ですから漁に関してはベテランです。おまけに、全く魚がとれず、仕方なく舟から上がって1日の仕事を終えようとしていた時に、素人のイエスに「網を降ろして、漁をしなさい」と言われたのです。普通ですと、「何を言っているのだろう」と思うところでしょうが、シモンは「お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と言ってその通りにします。そうすると、網が裂けそうになるほどのおびただしい魚がかかったのです。シモンの心の中で「この方は何者だろうか」という畏れに近い不思議な感じを受けたのではないでしょうか。そして、イエスの足元にひれ伏し、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです」と言います。シモン・ペトロは、この時初めてイエスの偉大さ、神々しさに触れ、自分の漁師というプライド、エゴが打ち砕かれたのではないでしょうか。イエスは、「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる」と彼らに言われます。その声を聞いた彼らは、一切を捨ててイエスに従いました。私たちにもイエスは、「恐れることはない」と呼びかけられているのではないでしょうか。ペトロたちが、自分のプライドもエゴまで一切を捨ててイエスに従ったように、私たちも一切を捨ててイエスと共に歩むことができたらいいですね。
ルカによる福音書5章1-11節
2022年2月6日