聖霊降臨後第4主日

新入社員が初めて仕事を任されたり、医者や看護師が初めて一人で医療現場に向かったりするときの心境は、どのようなものなのでしょうか。それまでは、先輩の指導のもとに仕事を覚えていたのが、一人で任されるということは、嬉しさもあり、緊張や不安な気持ちもあるのではないでしょうか。今日のみことばは、七十二人の弟子たちが、イエスに選ばれ宣教へと派遣される場面です。この七十二人の弟子たちは、イエスから呼ばれ、あるいはいやされ、教えに感銘を受けてついて行った人たちだったことでしょう。彼らは、イエスの傍にいて教えを学び、奇跡を体験し、時には手伝い、イエスの周りに集ってきた人の悩みを聞いていたのではないでしょうか。イエスは、そんな彼らを選び、ご自分が行くつもりのすべての町や村にニ人ずつ遣わされます。イエスは、彼らに「狼の群れに小羊を送り込むようなものだ。財布も袋も履物も持って行くな」と言われます。それほど、宣教をするということは、厳しいということがうかがえますし、御父への信頼がなければできないことなのです。
狼は、羊にとって天敵であり、そんな中に送り込まれる羊は、まさに殺されに行くようなものです。これから、派遣されて行く弟子たちは、このイエスの言葉を聞いてますます不安に駆られたことでしょう。
しかし、一人ではありません、イエスは【ニ人ずつ】組ませて遣わされますし、きっとそこには、御父や聖霊の助けもあったことでしょう。弟子たち一人ひとりの力は、限られていますが、御父や聖霊に信頼し、助けを願うとき、その行いは良い実りを得ることができるはずです。
みことばに「七十二人は喜んで帰って来て」とありますように、弟子たちは、初めての宣教が成功したことを興奮しながらイエスに報告します。私たちは、イエスに一人ひとり声をかけられ、宣教へと遣わされています。私たちの力は、小さく貧しいもので、【狼の群れ】には入ることなどできませんが、三位一体の神に信頼しながら日々の生活の中で、「神の国はあなたがたに近づいた」とみことばを伝えていくことができたらいいですね。

ルカによる福音書10章1-12、16-20節

2022年7月3日