聖霊降臨後第13主日
「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか」 シモン・ペトロが「あなたはメシア、生ける神の子です」 と答えた(マタイ16・15-16)。
この個所はパンのしるしの後に置かれている。イエスは自分の福音宣教の危機を感じ取り、弟子たちの養成に力を注ぐ時期が来たと悟る。この時からイエスは、外国のフィリポ・カイサリア地方へ退かれる。そこで、イエスご自身が群衆や弟子たちにとって「自分はだれであるか」を確かめる。イエスに福音宣教の転換期が近づいた。転換期は多くの場合、思いがけなく人生に“起こって来る” ものであり、選択を求められる時である。イエスがこれまで選んで来た宣教とは父なる神の御心に従い、 その “ドリーム” を実現させ、人々のためにアガペの愛とシャロームの平和への道を開くことであった。
イエスは、自分と親しく関わっている弟子たちの答えも求める。 ペトロはイエスに対して、自分の信仰告白を述べる。「あなたはメシア、 生ける神の子です。」こうして、ペトロのロを通すことで、ペトロがこの初代教会の信仰告白の “創始者” であると伝えたかったのであろう。イエスはペトロに話しかける。シモン・バルヨナ、あなたはさいわい。 はかない人間としてのペトロの努力や功績の結果ではない。シモンはイエスから新しい名を与えられる。ペトロス(石・岩) に通じる名。 この名は、イエスの“メシア的な共同体”の中での彼の新しい役割を示す。すなわち、教会共同体の土台や礎となる役割である。ここでイエスは、この共同体の揺るがない霊的かつ歴史的な安定感 (悪に打ち勝つ力)を約束する。つまり、神の御心は、イエスのことばや行いに表されており、イエスの共同体には権威を持ってそれらを解釈する首位権が与えられていることを意味している。
「それでは、あなたはイエスを何者だと言うのか」の問いに真実な“自分の答え” が求められる時も来るのだ! 信仰の転換期は試練の時であり、成長するチャンスでもあり、それは真の命につながっていく回心と養成へのイエスの招きである。今日、その識別ができるように黙想し、祈り求めたい。
マタイによる福音書16章13-20節
2023年8月27日