復活節第6主日
今日の福音は、最後の晩餐のときにイエスが弟子たちに語られる別れの説教と言われている場面です。イエスは、「互いに愛し合いなさい」という「新しい掟」を弟子たちに伝えられます。
今日の福音の中に【とどまる】という言葉が何度か出てきます。私たちは、この【とどまる】と聞いたときにどのような場面を思い浮かべるでしょうか。『新明解国語辞典』では、最初に出てくる意味として「その場所や組織に居続ける」と書かれてあります。イエスと私たちの関係は、場所や空間に居続けるというだけではないようです。
イエスは、弟子たちに「わたしの愛にとどまりなさい」「その愛の中にとどまっているように」「わたしの愛にとどまっていることになる」と言われます。イエスが言われている【とどまる】というのは、私たちがイエスという原木の中に【埋め込まれている】状態の意味のようです。イエスという原木の中には、おん父の【愛】が充満されていて、私たちはその【愛】をいただいて豊かに実ることができるのです。
私たちは、その実りを自分たちだけのものとして保つのではなく、周りの人に与えようという気持ちが自然と湧いてくるのです。イエスが言われる「互いに愛し合いなさい」という【新しい掟】とは、イエスの愛で豊かになった私たちが、周りの人に分かち合うことではないでしょうか。
もちろん、私たちはエゴという弱さを持っています。イエスは、そのことをご存じですが、それでも私たち一人ひとりをお選びになられ、「友」と呼んでくださいます。
私たちは、イエスの愛によって選ばれたことを感謝しながら、イエスからいただいた「互いに愛し合う」という【掟】をイエスと共に行なっていくことができたらいいですね。
ヨハネによる福音書15章9-17節
2024年5月5日