聖霊降臨後第4主日
私たちは、何か大きなイベントや、自分の能力以上の仕事を任された時、嬉しさとともに、恐れや不安を感じるということはないでしょうか。それは、そのことの大変さや困難さを知っているからなのです。
今日の福音は、イエスが七十二人の弟子たちを任命して、ご自分が行くつもりのすべての町や村に、二人ずつ先に遣わす場面です。イエスは、弟子たちに「行きなさい。わたしはあなたがたを遣わす。それは、狼の群れに小羊を送り込むようなものだ。財布も袋も履物も持って行くな。……」と言われます。弟子たちは、自分たちがイエスのように、各地に行って教え、人を癒し、「神の国はあなたがたに近づいた」と宣べ伝えるという使命をいただきます。
イエスは、七十二人の弟子たちを派遣する前に受難の予告をされ、さらに、天に上げられる時期が近づいたためエルサレムに向かう途中でした。また、イエスはご自分の弟子となる覚悟を伝えます。イエスにとってご自分がこれから向かおうとする町や村は、まさに、受難へと向かう旅だったのです。それでも、イエスは人々に「神の国が近づいた」ことを伝えようと弟子たちを派遣されます。それは、イエスご自身が歩まれる【道】でもあったのです。
弟子たちは、イエスのその気持ちを感じたのでしょう。多少の不安を感じながらも、イエスの教えを守って宣教に出かけます。しかし、一人ではなく、もう一人の仲間もいます。イエスが二人ずつ遣わされたのは、二人が助け合うという意味があったのです。さらに、彼らは、自分たちの無力さを感じながらも、おん父への信頼、イエスが後から来られるという安心感も持っていたのではないでしょうか。
弟子たちは、宣教から喜んで帰ってきて自分たちが行なったことをイエスに報告します。私たちは弟子たちのように、それぞれの立場で今の社会の中にイエスから宣教へと派遣されているのです。時には、「狼の群れの中に送り込まれるような」こともあるかもしれませんが、イエスがなんとかしてくださるという信頼と、自分一人ではない、助けてくれる仲間がいるという希望を持って宣教に出かけることができたらいいですね。
ルカによる福音書10章1-12、16-20節
2025年7月6日