復活節第2主日

今日の福音は、イエスが十字架上で亡くなった後の物語です。今まで一緒に暮らし、大事に思っていた人が亡くなった。しかも、十字架につけられて。
“弟子たちはユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていた。” この時の弟子たちの苦悩、悲しみ、恐れ、この先どう生きていけばよいのかといった不安は、どれほど大きかったことでしょう。
家に鍵をかける・・・そうするしかなかった、深い辛さの中にいた弟子たち。その弟子たちのところに、イエスが来られます。「あなたがたに平和があるように」と。平和そのものであるイエス。イエスは、弟子たちに言われます。「だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。だれの罪でも、あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る。」イエスの言われることは、いつものように、明確で単純。その通りです。イエスの平和は赦しと深くつながっているのです。
ご自分の手とわき腹を弟子たちにお見せになり、ご自分が受けた痛みと傷跡、あの十字架上での不条理の苦しみを抱いたまま、重ねて、何度も何度も、イエスは弟子たちに言われます。「あなたがたに平和があるように」と。イエスには、苦しみと死を乗り越えて“生きる”いのちへの希望・喜びが満ちています。
御父である神との深い愛の交わりの中に生き、それによって支えられているからです。そして、どのような深い悲しみや苦悩を抱えて生きている人にも、復活したイエスは歩み寄ってくださいます。「父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす」と言いながら、聖霊の息吹を送ってくださいます。
聖霊の息吹。イエスが、御父から受ける新しいいのち。それと同じいのちを、わたしたちにもくださるのです。死を乗り越えて生きる、新しいいのちの息吹です。目には見えません。わたしたちの心の中で生きるいのちだからです。

ヨハネによる福音書20章19-31節

2021年4月11日

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