降臨節第4主日

マリアは「急いで」でかけます。相手の苦境を黙って見ていられないからです。すぐに相手のもとへと出向くマリアは、相手の苦しみに敏感に気づく人でした。マリアの生涯の歩みは、常に相手の痛みにいちはやく気づいて行動を起こす、こまやかさと勇敢さとによって特長づけられていました。カナでの婚宴の際にも、マリアはぶどう酒が途切れるという新郎新婦の門出の危機を救いました。マリア自身は小さな人間であり、権力や財力はありませんでしたが、いちはやく相手の痛みに気づいて「とりなしを引き受ける」という実行力はありました。今日も「マリアのとりなし」を願って祈る人びとが世界中におります。年老いたエリザベトと年若いマリアとが、ともに生きるときに、彼女たちは強いきずなによって結ばれた最強の共同体となりました。ひとりひとりは弱く小さな者にすぎません。しかし、ともに協力するときに、相手の弱さを補って最強の連帯を実現させることになるのです。年老いた人は体力がおとろえており、ひとりでは何もできません。しかし、長年の経験にもとづく洞察力があり、人生の困難を乗り越える際の適確なアドバイスを相手に授けることができます。一方、年若い人は体力や冒険心がありますが、無鉄砲で無防備であり、しばしば危険に巻き込まれる危うさもかかえています。
年老いた人の経験にもとづく適確なアドバイスをいただいた年若い人は安心して成長することができます。そして、年若い人の体力によって身体を支えてもらう年老いた人は日常の雑事を簡単にこなせるようになり、快適な日々を送ることができるようになります。ひとりだけでは危うい人たちが協力することで、安全な生活を過ごすことができるようになります。私たちが教会共同体において生きる際に、マリアとエリザベトとの協力関係、心あたたまる共同体づくりの極意を学ぶことが重要となります。相手を支えて共同体を創り、安心して生きてゆける環境を整えることが「神のみこころ」であり、「神のみこころ」を実現するためにひとりひとりの人間は生まれてくるのです。小さいひとりひとりの人間は相手を支えるこまやかさや勇気を発揮するときに、共同体の偉大なる創始者となるのです。

ルカによる福音書1章39ー55節

2021年12月19日