顕現後第5主日

スポーツ選手、芸術家、音楽家などは、自分の目標を設定して限界まで極めようとします。このような特別な人たちだけではなくても、私たちは学校や社会、家庭の中でも「良い成績、売り上げ目標、良い父親・母親」などと、上を目指していることでしょう。
このように、何か目標を立てそれを達成するというのは、とても良いことだと思います。しかし、その目標がプレッシャーとなったり、逆に「私はここまで達成できた、ほかの人と違う」という気持ちに陥ったりしないでしょうか。
今日のみことばは、イエスが人々に語られた「山上の説教」の中での場面です。イエスは、人々に「あなたがたは地の塩である」「あなたがたは世の光である」と言われます。塩は料理の味付けに欠かせないもので、塩を入れることで食材の旨みを引き立てたり、保存食にも役立てたりします。また、暑い時などに塩分を取ることで体を整えることもできます。特にパレスチナ地方のように暑い所では、欠かせないものです。ですから、イエスの「あなたがたは地の塩である」という言葉は、人々に身近だったのです。
イエスは「あなたがたは世の光である」と言われます。【光】があると周りを照らすこともできますし、旅の目印にもなります。また、真っ暗な所に【光】があると安心します。ですから、【光】も【塩】と同じように私たちの生活に欠かせないものです。
イエスは、人々に「あなたがたは『地の塩』、『世の光』に【なりなさい】」とは言われません。それは、イエスに出会い、信仰に入った人は、もうすでに【地の塩】であり【世の光】だからです。もし、イエスが【なりなさい】と言われたら、私たちは「自分はそんな役割を担うことができるだろうか」とか、逆に「上手くできるように頑張らないと」と思うことでしょう。そうすると、【自我】に頼ってしまう傾きが出てきます。
私たちは、もうすでにいただいたこの恵みを、失うことなく、また、無駄にすることなく、人々に対して生かすことができたらいいですね。

マタイによる福音書5章13-20節

2023年2月5日

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