降臨節前主日

「あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」というイエス・キリストの確かな約束は、私たちをも勇気づけます。
イエスは犯罪人のまごころを受けてから、その相手をかけがえのない「あなた」として尊敬して声をかけます。しかも「今日」という言葉を用いることで、相手をすぐに一番最良の状態へと招いています。さらに「わたしと一緒に」と述べることで、一度つながったきずなが決して途切れることなく保たれることを伝えます。そしてイエス・キリストは「楽園にいる」という、おもいもよらない実りを犯罪人に与えます。
「王であるキリスト」の権威とは、常に相手を深くおもうこまやかさによって圧倒的な安心感をもたらす実力です。イエス・キリストと犯罪人とが十字架上の死の場面で決定的に出会う出来事は、たとえいかなる困難な状況であっても、イエス・キリストがゆるぎない実力を備えていることを明確に実感させてくれるものです。イエス・キリストは相手を活かすためだけに権威を用いる王なのです。
世間的な普通の王や政治権力者のほとんどは、自分の利益を増やすためだけに権威を用いがちです。しかし、イエス・キリストの場合は逆です。相手を活かすためだけに権威を用いる王としてのイエス・キリストの姿は、十字架上の死の場面においてさんぜんと輝いているのです。そのことを、ルカ福音書は見事に活写しています。
使徒パウロは、神が「万物をただ御子によって、御自分と和解させられました」と述べています。御子イエス・キリストは、御父である神と万物を橋渡しする救い主です。仲たがいしていた者同士を再び結びつける役目は、御子イエス・キリストにしかできない貴重な働きなのです。その橋渡し役としての姿も真の王としての特長となっています。
相手を優先して支える橋渡し役としての実力こそが、王としての資質であることが今日の聖書箇所から学べる要点なのです。

ルカによる福音書23章35-43節

2022年11月20日

主日の福音から

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