大斎節第3主日

お金の使い方は、一歩間違えると大変なことが起こる場合があります。時々ニュースなどで耳にする「贈収賄」という言葉があります。たとえば大きな製薬会社が、ある病院にお金を渡し、その代わり、自分たちの商品を患者さんに使ってほしいとか、便宜を図ってほしいなどと頼むことです。もちろん、このようなことは起こらないに越したことはありません。薬を販売して、その薬で患者さんの病気が良くなるということは、とてもいいことですが、その裏で金銭的な【闇】の部分が起こることは、許すことはできません。
今日のみことばは、イエスがエルサレムの神殿で商売をしている人たちに対して、「このような物はここから運び出せ。わたしの父の家を商売の家にしてはならない」と言われて追い出す場面です。
エルサレムの神殿では遠方から来る巡礼者に対して、いけにえとして奉納する羊や牛や鳩を売っていました。また、献金するためには、彼らが日常使っているローマやギリシャの貨幣を使うことができなかったため、古くから使っているユダヤの貨幣に両替する所があったのです。もちろん、彼らは巡礼者のためには、とても便利な存在だったのです。しかし、その裏では、神殿を管理している祭司やユダヤ人の指導者との取引や、良い場所の確保のための金銭のやり取りもあったようです。
イエスは、そのようなことに対して怒りを表されたのです。イエスは「この神殿を壊してみよ。三日で建て直してみせる」と言われます。イエスは、おん父への祈りの場所であるにも関わらず、いつの間にか商売の家になっている【神殿】など壊して、ご自分を新約の【神殿】としなさい、と言われているのではないでしょうか。
私たちは、利便性や生産性などを重視するあまり、大切なことを見落としてはいないでしょうか。本来、人々への奉仕のために始めたものが、自分たちの利益のために用いられるとしたら、本末転倒になってしまいます。今一度、私たちの心の中の【棚卸】をすることができたらいいですね。

ヨハネによる福音書2章13-22節

2024年3月3日

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